諸行無常とマネジメントの智慧
ー変化を見抜き、組織を導く者のまなざしー
お釈迦さまは、「諸行無常」を説かれました。すべては移り変わり、同じ姿を保つものはありません。
この道理は、仏教だけでなく、組織を預かるマネジメントの仕事に通じていますので、お話しをします。
1.❝続くと思う心❞が判断を曇らせる
長年続いた取引や安定した関係性があると、「これからも変わらないだろう」とお見込が生まれます。
しかし、無常は静かに進み、「お客様の方針が変わる」「市場環境が変わる」「競合先が優れた改善、提案をする」など。こうした変化に気づかなければ、気付いたときはすでに他社へ切替わっていた、ということになります。
無常を忘れたときは、マネジメントの兆しを見落とすのです。
2.森を見て木を見ず、木を見て森をみず
「木を見て森を見ず」という言葉がります。細部に捉われてしまい、大局を見失う戒めです。
しかし、逆もまたあります。
遠くから眺める川の風景は変わらないように見えますが、川の水は絶えず流れ、同じ水は一瞬たりともありません。同じように部下の報告だけで状況を判断していると、現場で起きている❝水の流れ❞に気づかないことがあります。
・お客様の微妙な表情 ・現場の空気 ・競合の気配 ・部下が言葉にできない違和感
こうした❝生きた情報❞は、現場へ足を運ばなければ見えてきません。
3.マネジメントの役割とは、変化を読み、変化に備えること
無常とは「変わるからこそ、気づける」「変わるからこそ、備えられる」という智慧です。
だからこそ、マネジメントには次の姿勢が求められます。
・現場に触れ、変化の息づかいを感じること ・部下の報告を鵜呑みにせず、自ら確かめること
・変化の兆しを組織に共有し、先手を打つこと ・今まで通りを疑い、柔軟に判断すること
無常を恐れるのではなく、無常を養うことが、組織を強くしていきます。
4.無常を観る者が、組織を守る
お釈迦さまは、「変わらないものはない」と教えられました。しかし、それは、不安を煽るためではありません。
変わるからこそ、私たちは学び、備え、成長できます。変わるからこそ、マネジメントの存在意義があります。
無常を正しく観ることが、お客様とのご縁を守り、部下を守り、組織を未来へ導く智慧となります。